こどもプラス上田教室では日ごろから障害特性を理解するために、職員研修を行っています。先日ある本の読み合わせを行いました。その中で「文字学習をする前に生活や遊びの中でことばを一つひとつの音に分ける音節分解や音韻抽出の力を獲得して長い言葉の聞き取りや模倣が正確にできるような力を養う遊びを十分にしておくことが大切だ」と言う事が書かれていましたので早速実践してみました。
話し言葉の一音一音につながる運動あそび、療育の提供
言葉の中の一音に対して一回のジャンプや一歩ができているだろうか?
- 「ことばを言いながら音の数だけジャンプする」
「とけい」は3文字なので言葉の一音に対して一回ずつ、合計3回ジャンプする。
- 「ジャンケンポン」→勝った分だけ進むことができる
「グー」=「グリコ」、、、「グ・リ・コ」と言いながら3歩進む
「チョキ」=「チョコレイト」 、、、「チ・ヨ・コ・レ・イ・ト」と言いながら6歩進む
「パー」=「パ・イ・ナ・ツ・プ・ル」と言いながら6歩進む
お子さんたちはリズムよく大きな声で体を動かしながら取り組んでくれました。見ていると音声と動きが合わないところも少し見られましたが、楽しそうに何度も繰り返している姿が印象的でした。ジャンケンなど勝ち負けが絡むと更に盛り上がり、相手を替えて何回も行っていました。
また、日ごろから運動遊びの順番待ちの時に行っている「しりとり遊び」も実は文字学習のもとになっていることもわかりました。
文字を読めるようになるためには
さて、何故このような経緯に至ったかというと、日ごろ宿題をする時に困っているA君やB君、C君など、今まで私たちなりに支援の工夫をしていましたが、学校に入って何年か勉強しても困り感が変わっていないお子さん達がいらしたからです。
今までの支援としては、読み飛ばしについては苦手な眼球運動を補うためにスリットを作って一行だけを見やすくしたり指を添えてゆっくり読んだり、文節に線を入れてみたりする工夫をしています。眼球の可動域に応じて拡大コピーをしたり縮小してみたりしました。
また眼球運動(ビジョントレーニング)にも取り組んでいます。
しかし「ずっと何かが足りない」と考えていました。
彼らは明るくて元気いっぱいのお子さん達です。言葉でのコミュニケーションも活発です。初めて会った方たちからは「このお子さん達にも障害があるのですか?」と聞かれたこともある程です。ADHDのお子さん達はとても社交的で話し上手です。アスペルガー症候群の方も話の内容が局所的になりやすい傾向はありますが、会話でコミュニケーションをとることに一見不自由を感じないお子さんたちが多いです。
ところが国語の音読では一文字ずつ読んでいて、意味を理解できていなかったり、文字を読み飛ばしてしまったり、読み飛ばしを補うために文末を想像して読んでしまったりなんとなくイントネーションが独特だったりしていました。
本の中では文字獲得の前提となる力として「表現力の側面」「技術的側面」「意欲的側面」の三つがあるそうですが、今回の遊びは「技術的側面」の中の一部分を補うものとして取り上げられています。
私たちの教室では「楽しく療育を行う」事を大切にこれからもコツコツとお子様たちの支援をしていきたいと考えております。
参考図書 「小学校までにつけておきたい力と学童期への見通し」
丸山美和子 著 かもがわ出版
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